愛犬家の住宅>空間プランニング


最近では、愛犬と人間が家の中で一緒に暮らすというスタイルが一般的になりました。その一方で、さまざまな問題、ストレスが生じる場合も少なくありません。愛犬と人間が良い関係を築き、より快適に暮らしていくためにはどうしたらいいのでしょうか。愛犬家住宅の専門家として、プランニングするポイントをご紹介します。

1、愛犬と人間の動線や領域を考える。
2、犬種の特性と個性、愛犬のライフサイクルを知る
3、愛犬が安心して過ごせる居場所をつくる
4、見せない、触らせない収納をつくる
5、開放的な空間、新鮮な空気を確保する
6、内と外をつなぐ空間の工夫をする
7、一緒に遊べるアウトドアリビングを用意する
8、建材を選んで悩みを解消する
9、愛犬が遊べる庭づくりをする
10、足洗い場とシャンプースペースを確保する


室内で暮らしている愛犬のほとんどがLDKを中心に生活をしています。LDKは愛犬が家族と一緒に過ごす場所であり、家族が留守の間もLDKで過ごす愛犬は多く、愛犬が一生のほとんどの時間を過ごす空間です。だから、より安心・安全・快適な環境にしてあげたい。

先ず愛犬の視点でみると、適切な温熱環境が維持できるか。ケガ、ヤケド、感電、誤飲など危険がないか。また、滑る床や段差など、愛犬の足腰に負担になっていないか。一方、飼い主の立場で考えれば、清潔さや美しさが保てるように、キズや汚れに強く掃除しやすいか。ニオイに対する配慮ができているか、などがポイントになります。

愛犬と暮らす家は、細かく仕切らず広々とした空間の方が、愛犬が行動しやすく、愛犬にも目が行き届き安心です。モノはなるべく片付け、すっきり暮らせるように収納の工夫、アイディアも大切です。

LDKは、バルコニーやテラスとつなげることでより広がりが生まれ、自然を感じながら暮らせます。また、吹き抜けや勾配天井など天井を高く設定することで、のびのびとした開放感が生まれ、自然の光や風も取り込むこともでき、人にとっても愛犬にとっても快適になります。人と愛犬が適度な距離感を保ちつつ、ストレスなく、仲良く、自然体で暮らすためにも、開放感のある広々とした空間が理想的です。


家族の集まるLDKに愛犬が落ち着いて過ごせる専用のスペースを設けてあげると、愛犬も寂しい思いをせず飼い主にとっても様子を常にうかがうことが出来て安心です。愛犬もひとりでくつろげる場所があると、ストレスから解放され、落ち着いて生活ができます。

ドッグスペースは、人間の部屋のような天井高は必要なく、階段下やスキップフロアの床下を利用したり、上を収納などに活用すればスペースにムダができません。犬の祖先はもともと洞穴を住処にしていたため、囲まれた狭い場所のほうが本能的に落ち着き、安心できるといわれています。

ドッグスペースは、凹んだ穴蔵のような場所をつくる(入り口にゲートを付ければゲージとして活用でき、愛犬の行動をコントロールできます。)、部屋の一角をゲートやサークルで囲う、専用の部屋を設けるなど、さまざま考えられます。    床や壁は、キズや汚れに強く、掃除のしやすいもの選び、また、消臭機能のある建材を採用するなどニオイ対策にも配慮することがポイントになります。

設置する場所は、直射日光や冷気による急激な温度変化が起こらないところが良く、外が見下ろせるような場所に設置するとテリトリー意識から頻繁に吠えるようになる犬もいるので注意が必要です。また、犬は弱い視力を発達した嗅覚と聴覚によって補っているため、外部の大きな音やニオイはストレスになることもあるので注意したい。


犬の本能に従えば、住処を糞尿で汚してしまうことは敵に居場所を嗅ぎ付けられたり、衛生面からも好ましくないことから、排泄は住処から離れた場所で行う習性がります。そのためトイレと寝場所とは離して設置してあげた方が本能的に落ち着きます。

トイレの設置場所は、お客様がいらしたときに気にならず、ニオイがこもらないような配慮が必要です。犬のトイレは人間の部屋のような天井高は必要ないため、上部を収納などに活用するのも良いです。トイレの設置場所の建材はキズや汚れに強く、掃除のしやすいものに。ニオイ対策としては、自然換気や換気扇、空気清浄器などを設置したり、消臭機能のある建材の採用も効果的です。

また、トイレのメンテナンスがしやすく清潔に保てるように、トイレシーツや掃除用具などの収納場所を確保したり、汚物を捨てる場所までの動線なども検討しましょう。


浴室で愛犬をシャンプーする場合は、十分な広さを確保し、配水管に抜け毛が詰まらないように排水口を目の細かい網やストッキングなどで覆い、なるべく流さないようにしましょう。また、浴槽の蓋を丈夫なものにし、その上でシャンプーするのも良いでしょう。

小型犬なら、洗面室でシャンプーができるように考えることも。その場合、洗面ボウルは愛犬の身体に合ったサイズのもので足が滑らないものを選びましょう。また、その周りでカウンターに愛犬を乗せてケアができるようになっていると便利です。

愛犬のシャンプーは、その後、どこで拭き、ドライヤーをかけるまで考えましょう。例えば、浴室と洗面室でシャンプーからその後の一連の作業ができるか。愛犬が身震いして水や抜け毛が飛び散ることもあるので、掃除やメンテナンスがしやすい場所になっているか。また浴室から直接つながるバステラスやバスコート、サンルームなどがあれば、そこで愛犬を乾かしたり、バスタイム後のリラックススペースとしても活用できます。


お散歩や外出から帰ったら、さっと汚れを洗い流せる水栓設備が玄関周辺にあると大変便利です。蛇口の高さ、水栓パンの大きさや深さなど、愛犬に合わせて設計し、温水シャワー付きにすれば、全身も洗うことができます。水栓設備の近くにリードフックや荷物を掛けたり、置いたりできる。また、ベンチなどを設け、座って愛犬がケアできるとより快適になります。

水が好きな愛犬なら、足洗い場にプールや池のように水をため、水遊びもできると愛犬も大喜びです。


LDKの外にテラスやバルコニーを広げ、愛犬と自然を満喫する空間に。床をフラットにつなげたり、フルオープンサッシなどを採用することで、より屋外との一体感が増します。

材質は自然の感触が楽しめるウッドデッキ、メンテナンス性に優れたタイルなど、いずれも愛犬の足が滑りにくく、継ぎ目などに足や爪がひっかからない、また、掃除のしやすいものを選びましょう。飛び出しや転落を防止したり、外からの視線を遮るフェンスには、木製、金属メッシュ、ガラススクリーンなどがあります。

その他の機能設備では、日差しを遮るオーニング、雨が降っても大丈夫な屋根、水栓設備など使い勝手と必要性を考えて計画しましょう。

バーベキューコーナーなども一緒にプランニングして、愛犬と充実した時間を楽しむライフスタイルも素敵です。


愛犬と遊ぶ庭は、愛犬が外に飛び出さないようにフェンスや門扉を設置。また、愛犬の体がなるべく汚れないように、ノミやダニが寄生しないように配慮しましょう。水はけの悪い環境だと害虫などの温床になり、オシッコなどのニオイも滞留がちなので注意が必要です。

グランドは足腰に負担のかからない、清潔さがたもてることがポントです。コンクリートや自然石は、夏の照り返しが厳しく、不快さを伴う場合があります。また、天然芝は愛犬に最適ですが日陰に弱く、オシッコで枯れてしまうこともあるので、メンテナンス性に優れた人工芝という選択もあります。

広い庭がなくても家の周囲をフェンスで囲えばドッグランとして活用できるます。また、建物や壁に囲まれた中庭は外からの視線を気にせず、愛犬と過ごせて快適。庭で遊んだ後、汚れをさっと洗い流せる水栓設備があると便利です。